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厨房の排気ダクト・排気設備の清掃の必要性について

      2018/09/17

飲食店の厨房の排気ダクトを始めとする排気設備は、定期的なメンテナンスが不可欠です。
厨房の排気設備は清掃が必要になります。

前回は厨房にある排気設備の名称と機能、そして設備毎に排気不良になる原因をご紹介しました。
厨房の排気設備の基礎知識【排気の仕組みと排気不良の原因】

今回は清掃をしないとどうなってしまうのか。
どんな恐ろしいことが起こってしまうのかをお話します。

排気設備を清掃しないと起こるリスク

1、換気・排気率の悪化

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グリスフィルターや防火シャッター、排気ファンなど排気設備が汚れると排気機能が低下します。
そうすると厨房で発生した排気の吸いが悪くなってしまうので、厨房が臭くなったり、煙くなったりしてしまいます。
厨房のみならず、客席にも広がってしまったり、店舗の外に漏れてしまうことで集客率や評判の下落につながります。

テリーが見てきた中で多かったのは、排気ができなくて「暑い」という問題です。
熱を外に逃がすことができないと、当然調理で発生する熱が室内にこもってしまいます。
そうなると厨房内で働く人のモチベーションにも影響してしまいます。

「じゃあエアコンの温度を低く設定すればいい?」って訳でもありません。
確かにエアコンの温度設定を低くすれば「暑い」という表面的な問題は解決することはできますが、根本的な解決はできないのです。(厨房は基本的に熱を使うのでエアコンの温度設定を客席より低く設定している飲食店は多いです)
それは、排気がしっかり行われていなければ吸排気のバランスが壊れてしまうからです。

吸排気のバランスの大切さ

ここで豆知識として意外に知られていないことを。
そもそもなぜ排気をしなくてならないのか?
厨房内であれば上に書いてある通り、熱がこもったり煙が出たり匂いが出たりするので、それを外に出すということも排気の目的の一つです。
そして火を使用するのであれば「二酸化炭素」が発生するのでそれも外に出すこともそうです。
しかし火を使用するには「酸素」も必要なので、どこからか新しい空気(酸素)を取り入れなければなりません。

要するに何が言いたいかというと
排気をするということは、吸気をするということなのです。
店内から排気された分の空気を、同時にどこからか吸気しているのです。

だってそりゃそうですよね?
排気ばっかして吸気しなかったら店舗の空気はなくなってしまいますからね。笑

大切なことなのでもう一度言います。
「排気をするということは、吸気をするということ」
排気と吸気は一心同体だということを覚えておいてください。

ですので、吸気と排気のバランスが崩れないようにするためにも排気設備のメンテナンスは大切なのです。
吸排気のことは今度詳しくお話したいと思います。

2、設備の腐敗・劣化

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油脂汚れは排気機能を低下させるといいましたが、設備の劣化も早めます。
例えば防火シャッターが汚れで全く機能しなくなり、その先に排気を送る役割を果たさなった場合、グリスフィルターは汚れる周期が早くなり目詰まりが起きる可能性が高くなります。
またこの設備劣化の一番起こりやすい箇所は、排気ファンとファンベルトです。
ファンが汚れて油脂汚れが付着すると、その汚れがファンの回転を邪魔をして、ファンを回転させるためのエンジンであるファンベルトに余計な負荷がかかります。
そうするとファンベルトは磨耗を早めその結果緩んでしまってファンの回転率を低下させたり、最悪の場合はベルトが断裂しファンが全く機能しなくなる可能性もあります。

前回の記事で各排気設備とその役割をご紹介しましたが、厨房の排気設備は連動性があって、一つ機能しなくなると他の設備に影響を及ぼす可能性が高いです。

参考:厨房の排気設備の基礎知識【排気の仕組みと排気不良の原因】

3、ダクト火災

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飲食店の経営者、設備管理者はこのリスクに最大限注意を払ってください。
ダクト火災とは、厨房などの排気ダクト内に蓄積された油や埃に調理で使用した火が引火し、ダクト内部で火災が発生することをいいます。
ダクト火災はお店に何のメリットももたらしませんし、むしろとんでもないデメリットをもたらすので気をつけましょう。

発生するデメリット

ダクトの換装・改修費

これはかなりの金額になり得ることが想像できます。それはダクトは見えないよう天井内や床などを這わせてあることが多いので、それらを解体する手間がかかり普通の設備を換装したり改修するよりお金がかかってしまいます。

近隣店舗への被害

ダクト火災が発生してしまうと近隣の店舗は避難を余儀なくされ、そうなると営業補償の問題が発生します。また実際に延焼してしまえばその弁償など、これまた莫大なお金がかかってしまいます。

風評被害

火災が起こればかなりの確率でニュースなど全国規模で取り沙汰されてしまいます。そうすると評判は地に落ちたもので最悪の場合再起ができなくなる可能性もあります。

そのほかにも営業停止による損失、消化活動での2次的な浸水被害などあげればたくさん出てきます。
つい2ヶ月ほど前にも福岡の焼肉店で床下に這わせてあるダクトに延焼するダクト火災が発生しました。
参考:無煙ロースター火災、九州で3年間計34件 焼き肉店でご用心 [福岡県]

焼肉店だからそのリスクは高かったということではありません。
どこの店舗でも排気設備の清掃を怠ればダクト火災が発生してしまう可能性はあるので、十分配慮してください。

 

最後に

3つのリスクについて説明しましたが、排気ダクトを始めとする排気設備の清掃をする必要性を少しでも理解してもらえらテリーとしては嬉しい限りです。
店舗の空調を左右するのはエアコンだけではありません。むしろエアコンより排気系統のほうがほっとくと痛い目に遭うと思っていたほうがいいです。
結論としては、怠ることなくしっかり清掃をしましょう。

排気設備は汚れれば汚れるほど、清掃をした後は綺麗な光沢のある鈍色になるので爽快感がすごいです。
テリー個人の感覚として、排気の汚れた飲食店を見ると「うおおおピッカピカにしてやりてぇぇ」という興奮状態を覚えるほどキレイになるので、今まで一度も清掃をしたことのない人は是非やってみてください。

 - 厨房ダクト